1,はじめに
寒い時期になると家庭内でのお湯の使用頻度は高くなりますが、そこで重要な役割を担うのが給湯器です。古いガス給湯器を使用し続けている家庭ではエネルギー効率が悪くなっていたり、急な故障やトラブルによって大きなコストがかかる場合があります。また、気温の変化によって給湯温度の安定性が不足していると快適性も損なわれてしまいます。
そこで今回は、これらの問題を解決できる給湯器として多くの家庭で使用されている「エコキュート」について解説いたします。
電気代が安くなるわけやメリット、導入する際の費用までご紹介します。
給湯機の老朽化やエネルギーコストに悩まれている方必見の情報をお届けします!
2,エコキュートとは?
エコキュートは、家庭やビルでの給湯設備に使われるエネルギー効率の高い給湯システムです。このシステムは、空気中の熱やガス(冷媒)の圧縮によって発生する熱を利用してお湯をつくります。
エコキュートが省エネである理由は、電気を使って直接お湯を沸かすのではなく、ヒートポンプ技術を利用したガス(冷媒)の圧縮・膨張や空気熱の取込みに電気を使うことで間接的にお湯を沸かすからです。この仕組みによる熱交換のエネルギー効率の高さは使用する電気エネルギーの3倍の熱エネルギーを生み出すと言われています。
つまり少ない電気でたくさんの水を温めることができるためエコキュートは省エネだと言われているのです。
3,エコキュートの仕組み
エコキュートは、空気中の熱や冷媒の圧縮によって発生する熱を利用してお湯を加熱する効率的な給湯システムです。
エコキュートではヒートポンプという技術によって水を温めます。
【エコキュートの過熱プロセス】
ヒートポンプによる加熱は空気から熱を取り込む➀熱交換器(大気用)で始まります。冷媒ガスが大気の熱により膨張し、温度が下がります。その後、冷媒ガスは②圧縮機に送られ、高い圧力で圧縮されます。圧縮により、冷媒ガスの温度が上昇します。③熱交換器(給湯用)を通じて、高温の冷媒ガスから水へ熱が伝わり、お湯を温めます。
このようにエコキュートは、空気の熱を取り込み、電気を使用して冷媒を圧縮・膨張させるプロセスでお湯を沸かします。この方法により、少ない電気で多くのお湯を沸かせるため、省エネ性が高いとされています。
続いて各部の機能について解説します。
➀空気熱交換器(空気中の熱を取り込む部分)
屋外に設置された集熱器から外気の熱を取り込む。
集熱器で得られた熱を内部の熱交換器に送り冷媒(フロンガスなど)に伝える。
②圧縮機/減圧器
圧縮機では電気を使って冷媒を圧縮することで高温にする。
減圧器では圧力を低下させ冷媒の温度を下げる。
③水熱交換器
圧縮機で高温になった冷媒から水へ熱をわたすことでお湯を沸かせる。
④貯水タンク
最後に、加熱されたお湯は給湯タンク内に貯蔵されます。
そして、給湯の要求があると、この貯蔵されたお湯が使用されます。
給湯タンク内のお湯が不足するとお湯が出なくなってしまうため、エコキュートを購入する際には家庭や事務所等で必要な湯量を考慮してタンク容量を決める必要があります。
また、電力会社が提供するプランには深夜の電気料金が安くなるものがあります。エコキュートには貯水ユニットがあるため深夜に効率的にお湯を沸かしておき、昼間にそのお湯を使うことで電力使用料を抑えることが可能です。
4,エコキュートのメリットとデメリット
4-1,メリット
省エネ性:
エコキュートは、少ない電力で効率的にお湯を沸かすことができます。従来の電気給湯器よりも電力消費量が低く、エネルギー効率が高いため、電気料金の削減につながります。
環境への配慮:
エコキュートは、燃料を燃やすことなく電気だけでお湯を沸かします。そのため、環境負荷が低く、CO2の排出量が少ないことが特徴です。地球温暖化や環境保護に配慮した選択肢として注目されており、省エネやカーボンニュートラルを促進する補助金等の活用が可能です。
4-2,デメリット
高価な導入費用:
エコキュートの導入費用は比較的高額であり、従来の給湯器に比べてコストがかかる場合があります。設置や配管工事などの施工費用も考慮する必要があります。また、定期的なメンテナンスや故障時の修理なども必要になることがあるため、思いがけない費用が発生する可能性も考えられます。
設置場所の制約:
エコキュートは比較的大型であり、設置場所に余裕が必要です。また、設置スペースには排気や通気に関する規制がありますので、設置場所の選定に注意が必要です。
5,最後に
エコキュートは大気熱と電気を利用してお湯を沸かすことで使用するエネルギーを抑えます。初期費用は比較的高額ですが、省エネルギー化の観点から補助金や助成金の対象となることがあるため、長期的な視点で考えると費用を抑えることができます。
エコキュートへの入替は快適性や安全性の面でも優れていると言われており、費用とリスクを考慮した導入を行うことで快適な給湯環境の実現が可能です。