1,はじめに
職場の空調環境を整えるために大切な業務用エアコンですが、設置や入替の際にはそれら機器に使用されている冷媒(熱運搬のためのガス)の処理に注意が必要です。
環境保護の観点から整備された法律によって適切な管理と報告が義務付けられました。
そこで今回は業務用エアコンをはじめ冷媒が使用されている機器を使用する上で義務付けられている対応について分かりやすく説明いたします。
2,フロン排出抑制法とは?
フロン排出抑制法は、オゾン層に対する環境への悪影響を抑制し、地球環境を保護するための法律や規制の一環です。
まず、フロンとはエアコンや冷蔵庫の冷媒、建物の断熱材等で活用されている化学物質です。
人体への有毒性の低さやその利便性から様々な分野で使用されてきましたが、オゾン層の破壊、地球温暖化といった地球環境への影響が明らかになったため、フロンの管理に関する法律「フロン排出抑制法」が平成13年に制定され、令和元年6月には罰則の導入も講じられました。
※参考:環境省_フロン排出抑制法の概要 – フロン排出抑制法の全体像|「フロン排出抑制法」ポータルサイト (env.go.jp)
3,対象機器と対象者の責任
では具体的にどのような機器が対象となり、誰がどんな義務を果たさなければいけないかをご紹介します。
3-1,対象機器
フロン排出抑制法で定められている対象機器としては業務用エアコン、冷凍冷蔵機器で冷媒としてフロン類が使用されている機器が対象となります。
具体的にはオフィスや店舗、工場等で使用されている業務用エアコンをはじめ飲食店や店舗で使用されている大型冷凍冷蔵庫、ショーケース等があげられます。
3-2,対象者
➀製造業者および輸入業者
フロンやこれに類似する物質を製造する業者や輸入業者に対して、特定の量以上の製品について登録と報告が求められています。また、フロン代替品の使用や再生利用による新規製造量の削減等の規制が設けられています。
②販売業者
冷媒を使用した製品を販売する業者には、登録および報告が求められます。また、購入者に対して適切な情報提供や、製品の使用後の廃棄に関する指導が期待されています。
③使用者
フロンを使用した設備や機器を所有・使用する企業や組織は、法令に基づく冷媒管理を行う責任があります。冷媒の漏れ対策や漏れ発見時の速やかな修理、適切な報告などが求められ、大規模な冷媒機器(大型施設や工場など)を保有する事業者は、冷媒の排出量について一定期間ごとにフロン排出抑制法に定められている報告・点検を行う必要があります。
3-3,点検内容
冷媒管理の基本として定められている点検作業として以下があげられます。
・簡易点検
全ての機器に対して、3カ月に1回以上の簡易点検を行わなければいけませんが、専門知識のない使用者の方でも実施可能で、目視での簡易的な点検となります。異音や明らかな故障が確認された場合は専門の業者に点検、修理を依頼しましょう。
・定期点検
室外機の定格出力が一定以上の機器については、簡易点検と併せて「十分な知見を有する者」により、一定期間内に1回以上の定期点検を行わなければいけません。
設置している機器の定格出力を確認し、該当する場合はメーカーや施工業者へ相談し適切な点検作業を実施しましょう。
出典:環境省_機器の管理・廃棄 – 機器の点検|「フロン排出抑制法」ポータルサイト (env.go.jp)
フロン排出抑制法に基づいた空調・冷凍冷蔵機器の管理を行い、それぞれの事業者責任を果たしましょう。日々の点検や定期点検は大きな故障やトラブルのリスクを最小限に抑えることにもつながります。機器の適切な管理を心掛け、安定した事業運営を実現しましょう。
4,まとめ
フロン排出抑制法は、地球環境を保護するために空調機器や冷凍冷蔵機器(フロンが使用されている機器)の適切な管理方法を定めた法律です。
機器の製造、販売、使用するそれぞれの立場の社会的責任と持続可能な社会の実現に向けた適切な管理方法を知ることが重要です。
フロン排出抑制法についての理解を深め事業者責任を果たし、健全な事業運営を行いましょう。